愛しのきもの
今年も
暑いの寒いの忙しいのと言いながら
一年が暮れようとしています。
先日の決算で、もうお腹いっぱい、、というぐらい
きものを広げ、触り、たたみましたが
やはりきものを触っている時が
一番落ち着き、
きものを挟んでお客様とあれこれお話できるひと時が
何より嬉しい瞬間です。
一年の終わりに
とっておきの訪問着を一枚ご紹介します。
訪問着:足立昌澄作 袋帯:本綴れ勝山作
良いきものと出会うと本当にワクワクします。
足立昌澄さんは日本工芸会正会員。
紅白の梅の花がきもの全体に描かれていて、
優しく楚々とした雰囲気を漂わせています。
足立先生のお花柄の作品をあまりお見かけしませんので
珍しい一品です。
このきもの、帯の取り合わせ一つで
30代、40代、50代、
着る女性を生き生きと引き立ててくれそうな
一枚です。
こうした工芸会の作家さんのきものをはじめ
京友禅、加賀友禅、東京友禅、
絞り、刺繍など様々なきものの中から
お客様に喜んでいただける取り合わせを
ご紹介させていただきたいと思います。
来年も
どうぞよろしくおねがいいたします。
【名匠展】1月の催し「初春 名匠展」平成30年1月20日(土) ・21日(日) – きものコーディネート相談会 –
名匠展2018年1月の催しのご案内
と き : 平成30年 1月20日(土) ・21日(日) 10時〜17時
ところ : 特選きもの「名匠庵」(名古屋市名東区平和が丘4丁目299 → MAP)
「きものコーディネート相談会」
礼装、正装から
観劇などの趣味のきものまで
すぐにお出掛けできるようコーディネート、販売いたします。
お手持ちのお着物などもどうぞお持ちください。
※和装小物の取り扱いもございます。
〈おしなぶれ〉
□ きもの・帯各種
振袖・黒留袖・色留袖・訪問着・付け下げ・色無地・小紋・袋帯・名古屋帯・長襦袢・お宮参りきもの・七五三きもの・全国産地紬・喪服類・和装小物・和のインテリアなど
□ きもの相談会
きものお手入れ(クリーニング)・染め替え・ご寸法直し
コーディネートや着付のコツなど、ご相談いただけます。
〈草履鼻緒すげ職人来場〉
草履の底ゴム取り替え・鼻緒すげ直しなど、はきやすく調整いたします。(一部有料)
お手持ちの草履、下駄をお持ちください。
草履修理、鼻緒すげ替えなどご相談お受けいたします。
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特別企画
「福助足袋 試し履き体験」
足に合う足袋のサイズが見つかります。
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※「名匠展」はご来場ご予約不要ですが、あらかじめご覧になりたいものなどがございましたらメールかお電話にてお知らせいただけましたら幸いです。
<お問い合わせ先>
名匠庵 本社ショールーム
〒465-0097 名古屋市名東区平和が丘4丁目299
TEL. 052-772-4682
FAX. 052-776-5800
地下鉄東山線 一社駅から徒歩7分
一社駅(北口)からご連絡くだされば、お車にてお迎えにあがります。お気軽にお問い合わせください。
駐車場 10台有
更紗 -サラサ-
今年10月、「更紗柄のきもの展」を
名匠庵本社で開催いたしました。
お客様との会話で、1番多かったのが
「そもそも、更紗ってなに?」
でした。
諸説あり、
とても奥深いこの問いかけの答えを探究することは、
どこかエキゾチックな雰囲気を漂わせる「更紗」のきものに対して
愛着が更に増していく事になりそうです。
ー更紗とはー
日本で「更紗」と呼ばれているもののルーツは
インド東南のコロマンデル地方沿岸で古くから製造され、
「木綿地に『草花や小動物など』を図案化し蝋染めで染めた」
布地、裂地のことです。
この木綿の布地は海を渡り、ヨーロッパやアジアへ輸出されました。
インドから来た、このどこかエキゾチックな色と文様(柄、図案)は
世界各地の人々の心をとらえ、各地の感性と融合されながら
今なお生き続けています。
そして元々、日本で「更紗」といえば
渡来した「布地そのもの」、又その「文様」を指していたと思います。
それが「その文様を写したもの(日本で作られた布地、きものや帯、
陶磁器や服地など多種多様の製品、作品)」も一言で更紗、
または更紗文様の〇〇、と呼ばれ、広く親しまれる
ようになったのです。
この「更紗」、
日本へは 慶長20年、まず「インド更紗」が
入って来ました。
そしてその後インドからインドネシアに渡った後、
文様や蝋染めの技法に独自の発展を見せた
「ジャワ更紗(ジャワバティック)」が入ってきました。
従来の日本にはなかった細密で濃厚な色と文様に
はじめて出会った人は随分と惹きつけられたことと
想像します。
そして日本でその布地の色柄、技法を研究、工夫して
日本好みの国産「和更紗」(堺更紗、鍋島更紗、天草更紗など)が
作られ、渡来更紗と共に諸大名や茶人に愛着を持って大切に
扱われました。
さらに京都でも、
絹のきもの地に更紗文様をつけるための技法が
工夫されました。
20枚以上の型紙を作り手摺りで染める「友禅更紗」、
友禅更紗:訪問着 二代目更甚作
木版印を使用する「木版更紗」、
木版更紗:名古屋帯 影山雅史作
細密な柄を手描きで施す「描き更紗」など
どれも大変な時間と労力をかけて製作されるものです。
ー更紗の語源ー
「更紗」については様々な研究がなされ、文献も数多くあります。
南方諸島の各地をご自身で廻られ、
この地方の文化に造詣の深い齋藤正雄先生(1895-1986)が
雑誌「茶わん」(昭和13年4月号第86号)に寄稿された
“蠟染めと「更紗」の語源” の冒頭と結びの一文が、
なぜ「更紗」の名で呼ばれるのかを理解するのに
とても良い道しるべになるかと思いましたので
引用させていただきます。
先ずは冒頭部分
今日我々が日常用ひてゐる更紗と云ふ言葉は、
耳觸りの善い日本語に消化されて、少しも外來語の臭味を感じないが、
實は更紗なる文字を仔細に見ると、その文字が更紗其物の
實體に何んの關係もないことに氣付く筈である。
卽ち更紗は南方の諸國から我國に海舶された
一種の蠟染織物に對して與へた當字であつて、
古くは暹羅染、砂室染或はさらさ、さらあさ、紗羅染、紗羅陀、
更多、佐羅佐等の文字を充當してゐた。
そして更紗についての考察を記した後、結びとして
さればサラサはコロマンデル沿岸で生産された
草花小禽文様を描く﨟纈の一種に就いて呼ぶタミル語であつて、
之が葡萄牙人及び和蘭人の極東貿易船と共に爪哇を經て日本に傳へられ、
今日の「更紗」となつたと考へ得るのである。
と、書かれています。
昭和13年当時のまま引用いたしました。
読みづらい漢字もありますので
現代語にしてみます。
「今日我々が日常用いている更紗という言葉は、
耳触りのよい日本語に消化されて、少しも外来語の臭味を感じないが、
実は更紗なる文字を仔細に見ると、その文字が更紗そのものの
実体になんの関係もないことに気付くはずである。
すなわち更紗は南方の諸国から我国に海舶された
一種の蝋染め織物に対してあたえた当て字であって、
古くは暹羅(しゃむろ)染、砂室(しゃむろ)染あるいは
さらさ、さらあさ、紗羅(さら)染、沙羅陀(さらだ)、更多(さらた)、
佐羅佐(さらさ)等の文字を充当していた。」
「さればサラサはコロマンデル沿岸で生産された草花小禽文様を描く
臈纈の一種について呼ぶタミル語であって、
これが葡萄牙(ポルトガル)人および和蘭(オランダ)人の極東貿易船と共に
爪哇(ジャワ)をへて日本に伝えられ、
今日の「更紗」となったと考え得るのである。」
さらに京都書院から刊行された「南方染織図録」の「ジャワ更紗 上」
から前出の斎藤正雄先生が解説をされた一文を引用いたします。
ジャワ語のバティックの出典としてはバタビヤ城日誌の
一六四一年四月八日の項に、
バタビヤからスマトラ西海岸ベンクーレン地方マンナに向けて出帆した
ランプウ(帆船)の積荷の中に、
“2p. Sarassen batick” 即ち「サラッセ文様バティック二包」
とあるのが古い。
このサラッセンはインドネシア語では Serasah
ジャワ語では Srasah に綴り、
それがコロマンデル沿岸に由来する
細かい草花小禽文様の臈纈を指していることは疑いない。
そしてこのサラッセやスラサは、わが国に伝来の後、
「更紗」と書かれた言葉の祖形であることもほぼ疑いがない。
、、、あらためて、最初の質問を。
「更紗って、何?」
「インドのコロマンデル沿岸地方で
草花や小動物を図案化して木綿に蝋染めして
生産された布地。
現在ではそれらの布に染められていた図案を元に
様々なデザイン、技法で作られた製品も
「更紗」と呼んでいます。
更紗柄のきもの、更紗の刺繍帯
更紗文様の絨毯、更紗絵付けのお茶碗、
更紗風の柄のハンカチ、カーテン、、、
唐草模様もペイズリーも更紗の図案のひとつ
です。
更紗文様刺繍袋帯
更紗文様 (金唐革技法製品)
見渡せば、更紗に影響を受けた製品の
なんと多い事でしょう。
歳月も海も飛び越えて、
不変の魅力を放つデザイン、それが「更紗」なのです。
次回、
インドからインドネシアに渡り、
独自の発展を遂げ、日本にも馴染みの深い
「ジャワ更紗」(ジャワバティック)について
お話ししたいと思います。
納品日和
振袖のお届けの為、
豊橋市に来ています。
今日は先負。
争いごとを避け、
先を急がず、
午後からゆったりと行動すれば
大安と同じくらいの吉日と言えます。
お天気も素晴らしく良い日になり
ほっとしています。
毎年、年内のお届けは、
「お日柄」と「お天気」とのにらめっこです。
きちんと納期に間に合わせてくださる
仕立、加工の職先の皆様にも感謝しつつ
お客様のお手元へお届けさせていただきます。
では、
行ってまいります!
師走の京都
お客様からお預かりした
きものの染め替えの打ち合わせの為に
日帰りで京都に行ってきました。
こちらは世界遺産・二条城「東大手門」。
今年の春に67年ぶりの修理工事が完成し、
覆っていた白幕が取れたばかりです。
この日の京都はとっても良いお天気で
青空と漆黒の本瓦とのコントラストがきれいでした。
京都市内は観光客も車も少なめで
年迎えの準備が静かにすすめられている、、、
と、思いきや
別世界がありました。
所用があり久しぶりに清水寺参道に行きましたら
夕方でもこの賑わい。
老若男女、いろいろな方言、言語。
世界の民族衣装からきもの姿まで
もう本当に大勢の参拝客が
楽しそうに参道を歩いていました。
車窓から静と動、
さまざまな景色を眺めつつ
師走の京都を後にしました。