足袋のこと その② 履き方
足袋の履き方をご紹介します。
① 足袋を半分に折り返します。
② 足袋を引っ張って足指を先端まで入れます。
③ 足首部分を引き上げ、足をすっかり納めます。
④つま先を少し上げ、コハゼを下から順にかけます。
※コハゼの掛け糸が2本並んでいますが、
必ず外側の糸に掛けます。
(内側の糸は足袋がきつく思える時の予備です。)
はけました。
そしてこちらは汚れ防止の「足袋カバー」です。
コハゼ5枚付きです。
福助足袋カバー
5枚コハゼ付
ナイロン100%
サイズ
S 21.5〜22.0㎝
M 22.5〜23.0㎝
L 23.5〜24.5㎝
LL 25.0〜25.5㎝
3L 26.0〜26.5㎝
参考上代 S 〜L 1,600円(税別)
LL〜3L1,800円(税別)
足袋カバーは足袋入れ袋を持参して、
訪問先に上がる前に脱ぐようにして下さい。
足袋のこと その① 選び方
前回、肌着について説明をしました。
ここで足袋についてお話しします。
着付けの順番でいくと1番に足袋でも良いのですが
(家でひとりでいるときは良いとして、
あまり格好が良くないので) まず肌着を着てから
足袋を履く方が良いと思います。
足袋もメーカーによって様々な種類があります。
季節やTPO、足の形に合う足袋に出会えたら
一日中快適に過ごせますよね。
足袋専門店で足型をとってもらって
「お誂え」
も良いのですが、
ここでは一般的で履きやすい
既製品足袋の選び方をご紹介します。
足袋を履いた時に困るのが、
「ブカブカして余分なシワがよる。」
又は、
「きつくて痛い。」
この、どちらもつらい2点に注意して、
ぴったりと足に合う
理想の足袋を探しましょう。
以下は創業明治15年、足袋のトップメーカー
「福助足袋」の商品で選び方をご説明します。
①まずはTPOに合わせ「コハゼ」の数を決めます。
コハゼとは、
足袋の足首部分に縫い付けられている
金具でできた「爪型の留め具」のことです。
留め具1つを 1枚と数えます。
一般的には「4枚コハゼ」
又は、「5枚コハゼ」
のどちらかを、着るシーンで選びます。
2足を並べてみますね
かかとから足首の1番上までの高さは
4枚コハゼで 約10㎝。
5枚コハゼは 約11.5㎝あり、
コハゼ1枚分高くなっています。
用途は
「4枚コハゼは普段用」
これは紬や小紋などの普段着用として、
という意味と、
訪問着や付下げ、色無地などをお召しの際の
あまりフォーマルな場ではない場合
(お食事会や観劇などなどですね)、
あとは、
お茶会などで長時間正座する場合に
足首を締め付けず、5枚より少し楽なので
4枚コハゼをおすすめしています。
「5枚コハゼは礼装用・舞踏用」
黒留袖、色留袖、振袖、喪服、
フォーマルな席での訪問着、付下げ、色無地には
5枚コハゼの足袋をおすすめします。
5枚コハゼの足袋は
足首がしっかりと包みこまれるような履き心地が特徴で、
履くとなぜか気持ちが引き締まります。
「裾除けの着方」でもご説明しましたが、特にフォーマルの場合
下着の段階からなるべく足首が見えないように着るのがマナーです。
又、踊りの際には、5枚コハゼが足の見え方がよりきれいです。
②次にサイズ選びを。
福助足袋のサイズ展開は 5㎜単位です。
(S、M、L、LL という足袋もありますが
それはまたの機会に。)
基本は、足のつま先からカカトまでの実寸に
5㎜足したサイズを選びます。
または靴のサイズから5㎜引いたもの。
23.0㎝の靴を履く方は足袋は22.5㎝が最適と
言われています。
(甲の高い方や男性は靴と同じサイズでもOK)
③そして足の形にあった「型」を探します。
「福助足袋」の「綿キャラコ足袋」の高級品は
足首の太さ、甲の高さ、足巾の広さ
に合わせて足袋の「型」があります。
ふっくら型
足首が特に太く、足の甲が高く、足巾が広い方
ゆたか型
足首が太く、足の甲が高く、足巾が広い方
なみ型
足首、甲、足巾 ともに標準サイズの方
ほそ型
足首が細く、足の甲が低く、足巾がせまい方
ささ型
足首が特に細く、足の甲が特に低く、足巾が特にせまい方
この5つの「型」と、足の「サイズ」を組み合わせて
選ぶことができます。
(型によって取扱いのないサイズがあります。)
同じ福助足袋の
「のびる綿キャラコ足袋」ですと
各サイズに「ゆたか型」「なみ型」「ささ型」
の組み合わせとなります。
(こちらも型によって取扱いのないサイズがあります)
デパート、小売店などの店頭にすべての種類を
常備しているお店はなかなかありません。
早めにご相談、ご注文頂ければ
名匠庵でもお取り寄せは可能です。
④足袋の生地も大事です。
福助足袋で一年通して履ける足袋の生地は
「綿キャラコ」と
「のびる綿キャラコ」です。
キャラコとは
綿布の織り方の一種です。
タテ糸とヨコ糸ほぼ同じ本数の綿糸で織り上げた
薄地の平織り。
織り目が均一で美しい光沢があり吸水性に富みます。
一方、のびる綿キャラコとは
伸縮性を持たせるため綿糸のほかポリエステルなどの糸を
織り込んでいます。
キャラコの白足袋がナチュラルな白とすると
若干青味のある白色の足袋です。
足袋を履きなれない方はこちらの、のびる綿をおすすめします。
以上の選び方を参考に足袋を選んでください。
標準的な足袋をご紹介しておきます。
まずはこちら
「綿キャラコ」「 23.0㎝ 」「なみ型」「4枚コハゼ 」
参考上代2,800円(税別) 〜(サイズによって価格変動します。)
綿100%
こちらの足袋はコハゼは「4枚コハゼ」か「5枚コハゼ」
型は、サイズごとに
ふっくら型、ゆたか型、なみ型、ほそ型、ささ型の5タイプ。
サイズとの組み合わせで100パターンにもなります。
(一部取扱いのないサイズもあります。)
もう1種類
「のびる綿キャラコ」「 23.0㎝」「 なみ型」「 4枚こはぜ 」
参考上代2,700円(税別)〜(サイズにより価格変動します。)
足袋 表地: 綿70% ポリエステル24% ポリウレタン6%
足袋 裏地: 綿98% ポリウレタン2%
足袋 底地: 綿100%
「のびる綿キャラコ足袋」は
「4枚コハゼ」か「5枚コハゼ」、
各サイズで「ゆたか型」「なみ型」「ささ型」の
3タイプの足型が選べます。
(一部取扱いのないサイズもあります)
足袋は他にも
麻の足袋、 繻子の足袋、色柄足袋、レース足袋、
ヒール足袋 、お子様足袋、絹の足袋など多種多様です。
ご要望に合わせて手配しますのでご相談ください。
※足袋は一度足を入れますと肌着同様 返品、交換できません。
和装肌着「肌襦袢」と「ワンピース肌着」
裾除けの次は、肌襦袢を着ます。
おすすめは礼装用の肌襦袢。
綿100% シキボウ(ガーゼ) 衿縁取りポリエステル100%
M・L・LL 参考上代2,000円〜
レースなどの装飾がなく、スッキリしていて、
衿ぐりがあらかじめ深く抜いてあります。
花嫁さんや振袖、留袖などのフォーマルには
レースの付いていない肌着が正式と言われています。
着姿がスッキリ決まるので、普段でもぜひ使いたい肌着です。
身につける時、普通に羽織るだけでしっかりと衿が抜けます。
きものを着たとき、背中から肌着が見えてしまうのを防いでくれます。
きものと同じ前合わせです。
完成です。
この上にタオルなどで補正をしていきます。
また、裾除けと肌襦袢を兼ねた「ワンピース肌着」も便利です。
こちらも礼装用がおすすめ。
衿がしっかりと抜けています。
きものと同じ前合わせで紐を左脇に通します。
背中でしっかり交差させて、体の中心を避けて結び、
紐の端を始末しておきましょう。
完成です。
この上に補正をします。
さらに便利なのが、和装ブラジャーのページでご紹介した
ブラジャー機能付ききものスリップ
身頃 綿95%ポリウレタン5% 裾ポリエステル100%
M・L 参考上代8,500円(税別)〜
ブラジャーと肌襦袢と裾除けが1つになっています。
美容院などに持って行くときは、
「裾除け+肌襦袢」 または
「ワンピース肌着」
のどちらかを用意します。
ちなみにこちらはレース付きのワンピース。
さらりとした着心地です。
衿の抜けが少なめです。
あまり衿を抜かずに着る紬や小紋などにいいですね。
長く正座すると、裾のレースの縫目が足に
当たりますが、気にするほどではありません。
様々なメーカーさんが色々な肌着を作ってくれています。
少しでも快適にきものを着て欲しい!という工夫が嬉しいですね。
和装肌着「裾除け」
和装ブラジャーを身につけましたら
その上に和装肌着を着ます。
和装ブラジャー共々、きもの姿の基礎となりますので
素材やサイズなどこだわりたいものです。
まず1番オーソドックスな肌着からご紹介します。
裾除け(すそよけ)
腰布 綿100% 本体 (裾まわり)キュプラ100%
店頭ですと裾除けの素材は主にキュプラ、(ベンベルグ)という表示が多いです。
「ベンベルグ」というのはコットンから生まれた
再生セルロース繊維「キュプラ」の、旭化成繊維(株)のブランド名です。
この素材、滑りが良く、やさしい肌触り。
静電気が起きにくく、ムレやベタつきを抑え、まとわりつきません。
腰の部分と、紐は木綿なので一度締めたら緩みません
巻き方にコツがありまして、
きものと同じ前合わせで体に巻き、
左の腰の上に裾除けの紐をこぶし1つ分持ち上げます。
裾除けの上前を体に巻き、同じく右の腰の上に紐を持ち上げます。
持ち上げた紐部分を外側に三角に倒し、紐を背中でしっかり交差させます。
このようにすると、裾除けの裾がつぼまって、広がってしまうことがなく、
体にしっかり巻くことができます。
紐を体の前で結びます。
この時、体の中心を避けて結ぶと表にひびきません。
結んだ紐の先を中に入れ込んで始末します。
出来上がりです。
裾除けを身につける時の裾の長さは、
足袋の上線すれすれくらいが目安です。
裾よけは歩く時の裾さばきを良くし、
汗や皮脂汚れを表にひびかせません。
シワや、たるみのでないようにスッキリと
腰に巻いて下さい。
裾除け
丈 / 裾廻り
M 95㎝ / 132㎝
L 95㎝ / 150㎝
参考上代4,000円(税別) 名匠庵で取り扱いしております。
和装ブラジャー
きもの用の下着について、
なるべく「身につける順番」に、ひとつづつ説明をしていきます。
まずはきものを汚さないために、手を洗います。 →「手を洗う」記事参照
そして、和装用のブラジャーをつけます。
バストのボリュームがある無しに関わらず身につけて下さい。
和装用のブラジャーは胸元をなだらかにおさえ、整える役割があります。
和装ブラをつけずにきものを着ますと、
胸が帯の上に乗っているような着姿になってしまいます。
着付け用の人形で表現してみました。
せっかくのきもの姿が
実際の年齢より5歳ほど老けて見えてしまいます。
きものの着付けの下準備のポイントは
「まず胸元をなだらかにおさえ、
そのあとで胴回りを補正すること」です。
胸元をなだらかにおさえておきますと、補正のタオルも
少なくて済みます。
名匠庵でご紹介している和装ブラジャーは主に3パターンです。
まずは1番スタンダードな形
全体がしっかりした生地なのでカバー力があります。
小さなクッションが付属品で付いていますので
微調整が可能です。
こちらはサイズが細かく分かれていまして
アンダーバスト80㎝〜110㎝まで5㎝刻みになっています。
季節は1年中お使いいただけます。
こちらは肌触りが柔らかく 伸縮性のあるタイプです。
脇の下まで生地が付いていますので汗染みにも安心です。
柔らかくバストをおさえてくれます。
汗取り用ですが夏だけでなく1年中お使いいただけます。
サイズはM・L・LL
こちらは和装ブラジャー機能付きのワンピース肌着です。
上からかぶるタイプではありませんのでセットした髪が乱れずにすみます。
和装ブラジャーと肌着の一体型ですのでスッキリしたシルエットになります。
サイズはMとLの2タイプ。
こちらも1年中お召しいただけます。
和装ブラで胸元をなだらかにおさえて、肌着を着て、
補正をした着姿がこちらです。
実際にはきものを着て 立ったり、座ったり、歩いたりと動きますので、
シワひとつない着姿はかえって不自然なのかもしれません。
ですが「胸元だけはスッキリなだらかに」。
それだけでずいぶん印象が変わると思います。
商品について詳しくはご来社、もしくは電話かメールにてお問い合わせ下さい。
手を洗う
きものを扱う前の
大事な習慣。
きものをさわる前には、手を洗いましょう。
特にメイクやヘアスプレーをした後などは
手に化粧品が付いていることがほとんどです。
美白効果のあるお化粧品がきものに付き、
そのまましまったままにしますとその部分だけが
色抜けしてしまうことがあります。
着る前
脱ぐ時
食事の後
きもののために、
手を洗う。
爪を整える。
引っかかりそうなアクセサリーを外す。
そして袖口の汚れを防ぐためにも
手首まで洗って下さい。
ハンドクリームを塗る時は
美白効果のない、
さらりとしたタイプを選ぶか、
仕上げに乾いたタオルで余分なクリームを
しっかり拭い取って下さい。
きものを長持ちさせるコツのひとつです。
『盛夏の扇子』のお作法
まずはよくないお手本から
ついつい顔の近くで扇子をバタバタしたくなりますが、
お袖から腕がのぞいでしまいますね。
扇子を使うときは
正面から親指が見えないように指を揃えて要を持つのが女性の持ちかたです。
歩きながらあおがないようにしましょう。
男性は親指を立てて要を握りこみます。
そして扇子は全開にしない。(慎み深く、満ちれば欠けるの心で中骨を2〜3本残して)
あおぐときは胸の下あたりから顔の下に向かってゆったりと肩幅から出ない範囲にとどめます。
これは他の方に風が当たらないようにするための配慮です。
また手のひらは、体温をはかったり、寒い時には火鉢にかざしたりと温度に敏感です。
顔に風を当てるより、手もとを扇子であおいで袖口に風を入れるとさらに涼しく感じられますのでお試しを。
扇子を使う前に、同席の目上の方に、一言断ってからあおぐようにすると丁寧です。
ご参考までに扇子の部位の名称をご紹介します。
どのような場合でも地紙に直接手を触れないことが扇子を長持ちさせるポイントです。
もし帯に挿す時はきものの胸元と扇子が擦れ合わないように深く挿すとどちらも傷みません。
扇子をバックに入れて持ち歩く時は扇子入れに入れることをおすすめします。
礼装姿の要『末広』の知識
あまり店頭に並んでいないのでご存知ない方が多いかもしれませんが、地紙が金銀、骨の部分が白い末広の事を骨扇とよびます。
白漆や象牙、合成樹脂などで出来ています。
黒留袖を着るとき帯の間に挿すのは地紙が金銀、骨は漆塗りに蒔絵がほどこされた黒色です。
色留袖にはこの写真の骨扇をおすすめします。
振袖、訪問着、付け下げ、色無地をお祝いの席でお召しの際にもお使いいただけます。
骨扇に白い房がついたものは花嫁さん用です。
言うまでもなく、あおいで涼しい扇子は祝いの末広の代りにはなりません。
<末広の挿し方>
左胸側の伊達締めと前板の間に金の地紙か骨を正面に向けて挿します。
どの様な場合も金が表です。
帯が銀色だから銀を正面に向けるという使い方は決して致しません。
胸に当たると、きものの生地を痛めますので控えめに挿しましょう。