十一屋 (じゅういちや)
7月と8月は豊橋「ほの国百貨店」で
催しを3つ開催いたしました。
7月は
7階の売場で
「和装お役立ち小物特集」、
8月は
8階催事場で
夏の染織名匠展「お子さまの晴れ着特集」と
7階売場で「付け下げ逸品展」。
催事中、
クラクラするような暑さの中、
小物あわせのご相談に
ご来店くださったお客さまが
ご持参された”あるもの”に
店中の販売員が大感激、大感動!
という出来事がありました。
お客さまが撮影を快諾してくださいましたので
ご紹介させていただきますね。
クラシックなジュエリーケース。蓋を開けますと…
果物が丁寧に彫られた珊瑚の帯留と三分紐…
……の、蓋を拡大します。
「JUICHIYA NAGOYA」
東海地方の御年配の方でしたら
ピンとくるかもしれません。
昨年6月30日、店舗営業を終了した
名古屋の「丸栄百貨店」の前身
「十一屋」のロゴマーク入りの
ジュエリーケース‼︎
十一屋について少しお話ししますと、
元和元年(1615年)に小間物商として創業。
大正 4年(1915年)、名古屋市栄4丁目で
十一屋呉服店として店舗営業を開始。
その後洋風建築に改築をかさね
大正11年(1922年)に十一屋呉服店から
「株式会社十一屋」となり、
昭和18年(1943年)に「株式会社十一屋」は
「株式会社三星(昭和12年設立)」と合併し
「株式会社丸栄」が誕生したのです。
丸栄店舗営業終了に際し復元された
十一屋、丸栄、三星のロゴ暖簾と歴代の制服
今年は2019年、
十一屋の名前が消え、76年の歳月が流れました。
お母様から譲られたという
このジュエリーケースと珊瑚の帯留は
少なくとも76年、またはそれ以上も前に
十一屋のショーケースに飾られていたのだと
想像できます。
旧十一屋の建物は昭和11年(1945年)の空襲で
全焼してしまったのだそうで、
今となっては本当に貴重なお品です。
今私どもが出店しております「ほの国百貨店」
も前身は「豊橋丸栄」で、
十一屋とはご縁があります。
この場に居合わせた係員全員が
ロゴマークの本物を初めて見たと
驚き、感激したというわけです。
肝心のご相談は
付属の三分紐(帯締め)を新調したい
ということと、
この帯留をどんなきものにあわせれば良いのか
というご質問。
三分紐を数種類ご紹介させていただき、
礼装を避けカジュアルなお出かけのきものに
お使いいただけるとお伝えしました。
お客さまに
十一屋のお話をさせていただきましたところ
私どものあまりの驚きように
保管はこの組み合わせのまま
大切にするわねとおっしゃってくださいました。
元和元年創業、十一屋ゆかりの品と
令和元年に出会えた、うれしい夏でした。
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