更紗 ージャワ更紗ー
ジャワ更紗、
またの呼び名を「ジャワバティック」。
ーバティックとはー
語源は諸説あります。
日本航空の情報誌「AGORA」2015年5月号
巻頭特集「バティックの古都を行く」文=坪田三千代さんより
「バティックという言葉は、そもそもジャワ語。
ンバッは投げるという意味、ティックは小さな点のことなんです」
かつてインドのコロマンデル沿岸地方で製作された
「草花や小禽類文様を蝋染めした布地」は貿易船で
インドネシアの各地、またその首都のあるジャワ島に
「サラッセ」、「スラサ」の名で大量に輸入、消費されました。
その後ジャワ島では、良質な木綿生地を使用し、
蝋染めの技法や文様も独自に発達させたものが製作され、
ジャワにおける「インド製染織品」は次第に姿を消していきました。
布の味わいとして、
インド製のいわゆる「鬼更紗」と呼ばれる
ざっくりした風合いの生地におおらかな柄つけのものに比べ、
インドネシア、ジャワ島の「ジャワ更紗」は
欧州製などの細糸の綿布に「細密な点描」などで濃厚な色、
文様が施されており、全く独自の発展を見せたのです。
ージャワ更紗(ジャワバティック)の文様ー
文様を数えれば千を超えると言われていますが、
そのすべてに意味があり、
王族、貴族のみに許された「禁制文様」、
職業や立場などに定められた文様、
冠婚葬祭の折々に纏う祈りのこもった文様もあり
とても興味深いものです。
大きく分類しますと
禁制文様、細かな草花文様、織物文様、編物文様、組紐文様
孔雀文様、鳳凰文様、雲形文様、宝相華文様、
支那風文様、インド風文様など
ージャワ更紗(バティック)の技法、道具ー
かつて白地の木綿地の両面又は片面に
溶かした蜜蝋をチャンチンと呼ばれる小さな金属製の道具にいれ
文様を描くのはジャワの婦人の手仕事でした。
細密な「点」をひとつひとつ蝋で乱さず描き続けることは
相当な集中と忍耐が必要とされ、
古のジャワ王宮の女性たちは
これを精神修養として静かに布に向き合いました。
チャンチンは
細い管を並べて平行線を描いたり
たくさんの管を環状に固定して一度にたくさんの点描ができるよう
工夫されたものもあります。
時代は下り、
チャンチンによるフリーハンドの手描きのほか
押型(チャップ)を使ったものも作られるようになりました。
押型の継ぎ目がわからないように慎重に押していきます。
この押型は非常に力のいる作業なので男性の仕事です。
さらに文様が印金技法で施されたものも見られます。
現代では手描きや押型、押型と手描きの併用のほか
レーヨン素材などにプリントするバティック風のものまで
様々です。
ーバティックの染ー
蝋のにじみを防ぐための下処理をほどこした
生地に、木灰などで下絵を描き
チャンチンで文様をのせます。
ベースの色を染めて乾かし、
必要な箇所だけを残して固まっている蝋を掻き落とし、
さらにチャンチンで文様を書き足し
再び別の色を染め重ねます。
表現したい文様、色の数だけ手間がかかります。
この色彩は地域によって特徴があり、
ジャワ島の首都ジョグジャカルタは暗い藍系
古都ソロのバティックは
明るめの茶褐色系といわれています。
ジョグジャカルタ、ソロそれぞれの街に
博物館があるそうでバティックの古布や
その歴史、王宮文化に触れることができます。
こちらは現代のソロの工房のもの
細密な点描で蝋染めされた更紗文様。
紋織りのシルクにバティックが施されたストールです。
数年前から弊社社長とジャワ島の古都ソロの工房主と
交流があり、その貴重な作品が名匠庵に数点ございます。
シルクのジャワバティックのストールは
大島紬などの趣味のきものによく映えるばかりでなく
洋服にもお合わせいただけます。
ストールについて詳しくはこちらをご覧ください。
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