うかうか一年
京都の南座から八阪神社へ向かう四条通りに
仲源寺というお寺さんがあります。
「めやみ地蔵」が安置され、
目の病気に霊験あらたかなのだそうです。
(もともとは あめやみ→雨除けとの説もあるそう)
そのお寺さんの門前に長いこと貼られていたのが
「うかうか一年」。
今から20年以上前、
きものやさんになりたての頃
着付を習うために京都に通い、この道をずいぶん歩きました。
この標語を見るたびに
ハッとして、
そしてすぐに忘れ、、うかうか過ごしていたのでした。
すこし前に懐かしく思い前を通ってみましたが
今は貼られていないようですね。
年の瀬が迫るこの頃に
時々思い出すひとことです。
ところで今日は名匠庵の決算日。
在庫を二人一組で書き出します。
ただ今午前11時。
先は長いです。
けれどこの作業、
在庫の柄をあらためて見返したり
この柄はあのお客さまに似合いそうとか
あれこれ考えながら進めていきます。
これこそ「うかうか」できない大事なひとときです。
名匠庵は今日も元気に営業中です
この週末11日(土)、12日(日)は名匠庵本社にて
霜月名匠展開催中です。
年末年始、クリスマスのイベントや
初釜などにお召しいただけるきものを
ご紹介しております。
今日は朝一番、年明けに成人式を迎える
お孫さんのためにショールをお求めのお客様などが
ご来場くださっています。
振袖に合う、華やかな髪飾りや小物も
会場にご用意しておりますので
お探しの方は是非お越しください。
会場の全体写真に写っていたのは
坂井修さんが制作された訪問着
「春よ来い」という題がついています。
坂井修さんは
1943年京都生まれ
1961年に染織工芸作家で人間国宝の森口華弘氏に師事
1972年別家独立、自営されました。
1981年に日本伝統工芸展に初入選、
その後数々の賞を受賞されていらっしゃいます。
現在も日本伝統工芸会正会員、
京都府指定無形文化財(友禅)保持者として
作品を制作されておいでです。
この訪問着、
春の陽射しに誘われて
ポツポツと咲き始めた梅の花枝を、
大胆に配置された梅の幹をバックに
シンプルにデザインされた
明るい色調の訪問着です。
デザインの素晴らしさもさることながら
梅の花や幹、またその背景に
それぞれ糊の大きさや色味の違う
蒔糊技法が施されて、
とても手間のかかる仕事が見てとれる
ほんとうに良いきものです。
幹にほんのりのっている苔色に
この梅は古木なのかな、と思い
背景の白や薄グレーの蒔き糊に
春の雪を想像します。
坂井修さんの蒔糊の表現はどうぞ実物をお手にとって
ご覧いただきたいです。
もちろんご試着も可能です。
どうぞお出かけください。
※名匠展終了後もご覧いただけます。
その際にはご来社日のご予約をお願いいたします。
「国宝」展
昨日27日金曜日、京都へ行ってきました。
各取引先を廻り仕入やお支払い、
加工の打合せなどを全て済ませ
午後6時、京都国立博物館へ。
今、こちらでは
特別な展覧会、
京都国立博物館開館120周年記念
「国宝」展
が開催されています。
縄文時代から近世まで
「展示品の全てが国宝」という
まさに夢のような催しです。
通常、国立博物館は午後6時閉館なのですが
会期中の金曜日と土曜日は
午後8時まで(入館は閉館の30分前まで)
開館している事を知り
社長と営業部長とともに訪れ、
思い思いのペースで鑑賞しました。
この時間なら空いているだろうと思ったのですが
大変な、大変な混雑ぶりで
特に10月29日まで展示の「京都龍光院の曜変天目」
を見るための、とても長い行列ができていました。
染織では
聖徳太子の妻が亡き太子を偲び作らせた
日本の最古の刺繍と言われている「天寿国繍帳」は
あいにく22日までの展示で見ることができませんでしたが
奈良法隆寺の「四騎獅子狩文様錦」を見ることができました。
7世紀に中国(随〜唐時代)に伝わったこの文様は
今でも帯地や風呂敷などで親しまれています。
縄文から近世まで。
本来なら決して並べて鑑賞することなど
かなわない
本物の国宝の前に立ち、
イヤホンガイドの解説を聞きながら
不覚にも泣きそうになりました。
博物館の外では
遠くに見える京都タワーを
たくさんの方々が静かに眺めていました。
その場を立ち去りがたい、
そんな夜でした。
京都国立博物館開館120周年記念
2017・10・3(火)〜11・26(日)
京都国立博物館にて
4期に分けて国宝を一挙公開です。
神無月名匠展ご来場ありがとうございました。
週末は名匠庵本社で神無月名匠展を開催致しました。
黒留袖やお嫁入りの訪問着の下見、
振袖や趣味のきもののご用命などなど
たくさんのお客様にお越しいただき
賑やかな展示会となりました。
雨模様の中ご来場くださりありがとうございました。
今回、両日ともデパートの顧客様向けに
展示会にあわせてミニバスツアーも企画いたしました。
名匠展の後、知多半島半田の酢で味わう
寿司の名店 「すし処睦月」さんでご昼食、
ミツカン酢「MIZKAN MUSEUM」のご見学を
お楽しみいただきました。
知多半島半田市はミツカンミュージアムのほか
「国盛 酒の文化館」などもあり
ゆっくり楽しく散策できる街です。
お祭りでは「はんだ山車祭り」が有名ですね。
ご遠方から名匠庵にお越しの際には
せっかくですから
周辺の見どころもわかる範囲で
ご紹介させていただいております。
どうぞお尋ねくださいませ。
陸王
足袋のお話をもうひとつ。
少し前のことになりますが
愛知県豊橋市でテレビドラマのロケがありました。
TBS日曜夜9時日曜劇場の新シリーズ です。
「半沢直樹」や「下町ロケット」の枠ですね。
10月15日スタートの今回は
「陸王」。
足袋の一大産地、埼玉県行田市の老舗足袋会社が
物語のモデルとなっています。
原作は池井戸潤さん。
物語の主役、足袋会社4代目社長に役所広司さん。
年々足袋の需要が少なくなるなか、
資金難、開発力不足、素材探しなどに苦しみながら
会社の存続を賭けて新たなランニングシューズ開発に
挑戦します。
強大なライバル社との熾烈な争いなどの困難に
家族や仲間と共に伝統と情熱で一世一代の
大勝負に打って出る、、、!
、、、 その 重要な 、マラソン シーンのロケだったそうです。
ちょうどその日、近くで展示会をしておりまして、
役所広司さん、ジャージ姿の竹内涼真さんを
一瞬お見かけしまた。
こちらはロケ終わりのひとコマ。
普段静かな街中に久しぶりに黄色い歓声が響いてました。
きものやさんとしては、足袋会社が舞台の「陸王」、
とっても楽しみなドラマです。
ところ変わって、我が社の社長、
今日は10月14日、15日の名匠展に向け
庭の手入れに励んでいます。
足元は行田市きねや足袋株式会社の
「きねや無敵地下足袋」。
陸王のロケがきっかけで
きねやさんから個人的にお取り寄せしまた。
表地は藍染、裏地は水色。7枚こはぜの
なかなかオシャレな配色で、庭しごとのお供になっています。
行田市は木綿の産地で、
足袋や地下足袋製造が盛んな地域なのです。
足袋の産地はほかに徳島、岡山。
お誂えの足袋なら東京や京都などで専門店を
営む職人さんがいらっしゃます。
名匠庵では主に「福助」の足袋を扱っております。
今秋より「福助足袋の試し履き」をしていただけるようになりました。
詳しくは小物/和のインテリアのページをご覧ください。
2017年10月8日より、名匠庵にて足袋の試し履きができるようになりました。
詳細はこちら → 福助 足袋の試し履きについて
足袋の日
10月8日は「足袋の日」です。
1988年(昭和63年)、日本足袋工業会がこの日を足袋の日と制定しました。
10月は、これから七五三やお正月、成人の日など足袋を履き、きものを着る機会が増える始まりの月。
そして末広がりで縁起の良い8の日、
つまり10月8日を足袋の日と定めたのだそうです。
私どもも、お客様から足袋の選び方についてご相談を
受けることが増えてきています。
足袋は下着と同様に一度身につけたものは
返品が難しいお品です。
なのに試着もしていただけない、
というジレンマが常々ありました。
そこで、足袋メーカーの福助さんにお願いして
試し履き用の足袋を作っていただきました。
→ 福助 足袋の試し履きについて
ただ残念ながら名匠庵に足袋職人さんが常駐している
ということではございません。
何枚か試し履きしていただき、
私どもの経験上でのアドバイスをさせていただます。
又、お求めの際にはお取り寄せとなるサイズがございます。
あらかじめご了承ください。
男性、女性どなたでもお試しいただけます。
ご希望の方はご来社日をご予約の上お越しくださいませ。
※毎月の名匠展開催日のご来場はご予約不要です。
2017年10月8日より、名匠庵にて足袋の試し履きができるようになりました。
詳細はこちら → 福助 足袋の試し履きについて
第64回 日本伝統工芸展
10月2日、
東京 日本橋三越本店で開催された
第64回 日本伝統工芸展を見て来ました。
10月2日はその最終日。
第64回展(平成29年度展)は
東京を皮切りに
名古屋、京都、金沢、岡山、松江と廻り、
平成30年1月から高松、仙台、福岡、大阪、
そして2月、広島まで
全国の主要な美術館や百貨店で開催されます。
染織の部には、
福田喜重さん、森口邦彦さん、坂井修さん、
伊藤英美さん、村山正夫さん、足立昌澄さん
など名匠庵で扱わせていただいている
多くの染織作家の方々の新たな出品作を
拝見する事が出来ました。
国内最大規模の公募展である日本伝統工芸展は
染織だけではなく陶芸、漆芸、金工、木竹工、
人形、諸工芸の7部門から各作家の作品を
審査し、入選作品によって開催されています。
目の前にある、このかたち、この色、この曲線、
ここに至るまでにどれほどの努力、研鑽の日々が
あっただろうと思いを巡らせつつ会場を後にしました。
名古屋展はもう始まっています。
10月4日(水)〜10月9日(月・祝)名古屋栄三越にて。
職人さん大活躍
今週末は24日(日)まで愛知県豊橋市の
ほの国百貨店特選きものサロンで
フォーマルきもの展を開催しております。
黒留袖、振袖、色留袖、色無地、訪問着の
ご試着、ご注文をお受けしました。
帯との取り合わせ、
帯締め、帯揚げの色や素材合わせなどをご納得いただけるよう、
心を込めてコーディネートさせていただきました。
仕立て上がりをどうぞ楽しみにお待ちくださいませ。
又、同時開催として
鼻緒挿げ職人さんによる草履相談会も開催いたしました。
鼻緒の緩みを調整させていただきました
前つぼのお取替えをいたしました
今回も沢山のお客様さまが草履のご相談に
ご来店くださいました。
あんまりじっと見られると緊張してしまうといいつつ
お客様の目の前で手際よく鼻緒の挿げ替えを
してくれていました。
毎回、少しづつ草履の修理をご依頼くださる方もいて、
今度はいつあるのという嬉しいお問い合わせも
いただけるようになりました。
草履相談会は名匠庵本社で毎月開催している
『名匠展』でも毎回行なっていますが、
草履の修理や鼻緒の緩み直しなどを
気軽に持ち込めるお店が減っているようで、
皆さまに喜んでいただいているイベントです。
※草履にちなみ、鼻緒について、小物のページで特集しました。
ぜひご覧ください。
次回草履相談会は
行われます。
ご来場ご予約は不要です。どうぞお越しくださいませ。
長月名匠展 ご来場ありがとうございました。
台風18号の動きを気にしながらの展示会となりましたが、
名古屋への最接近は17日夜半でしたので
お客様がいらっしゃる日中は、何とかお天気は
持ちこたえてくれました。
ご来場くださいましたお客様、
本当にありがとうございました。
「京友禅、加賀友禅、東京友禅」(三都友禅)を特集しましたが、
今回は東京友禅を見たいとおっしゃるお客様が多かったです。
こちらは東京友禅 今井 東(いまい あきら)作 訪問着
今井 東さんは
昭和33年、そして平成5年、
皇太子妃殿下の御婚礼意匠を制作するなど
皇室の御用命をお受けになる一方、
新人作家の育成にも尽力されました。
はっきりとした色合いの挿し色に、
本金の揉み箔を重ねるなど独特の作風のきものは
気品と格調に満ちています。
写真の訪問着は
細い細い絹糸で織られた艶やかな紋綸子生地に
町衆が活き活きと描かれています。
全体を広げると見事な絵巻を見るようで
眼福の一品です。
箔も刺繍も丁寧に施されていますので、ぜひ
お手に取ってご覧いただきたいと思います。
今井 東さんの作品は黒留袖もございます。
その他 東京友禅作家 星野 総次郎さん、
染の百趣 矢野の東京友禅作品など取扱っています。
もちろん京友禅、加賀友禅もご覧いただけます。
メールにてご来社ご予約の上お越しください。
宮古上布の島、後日談。
先日、9月14日、
宮古島からゆうパックが届きました。
荷主は宮古織物事業協同組合さん。
ちょうど13日に宮古島を通過した台風18号の暴風雨の様子を
テレビで見ていて心配していたところでしたので、
お電話が通じて、お話しできて安心しました。
先日宮古島を訪れた際、タクシーの運転手さんは
ここ2年ほど宮古島には台風が来ていなくて、
陸は緑が生い茂り、海は動かず珊瑚は元気がなく、
という状態が続いていたそうで
台風のうねりが海の底を洗ってくれたり、
大風が害虫を島の外に飛ばしてくれたりするけど
、、、、あんまり大きいのはこまるね。
と話していたことを思い出しました。
ところで荷物の中身は宮古上布の紺絣着尺。
数年前から名匠庵にある宮古上布の柄が、
とても大柄で珍しく、
製作に携わった方のことなどを知りたいと思い
組合に持参したものです。
そして柄を見るなり、
下地恵康(しもじけいこう)さんの工房の作では⁉︎とのこと。
下地恵康さんは昭和の図案名人といわれ、
大柄な図案を得意とし、
伝統工芸士として当時最高の技術者であり、
宮古上布保持団体の代表を務められたこともおありだそう。
持参した着尺の証紙から
国・県指定の伝統工芸品であるものの
現在の検査基準が定められる以前の作であり、
重要無形文化財とすることはできない、との事でした。
そう、ずいぶん前に織り上げられたものなのです。
その糸の、あまりの繊細さに惚れ込んで、
ある問屋さんから譲り受けた、
あまり見かけない印象的な大柄の宮古上布。
せっかくなので綺麗に整理していただき
台風が来る直前に送ってくださった というわけです。
東京での「沖縄の工芸展」を控え多忙な中
本当にありがとうございました。
他に、今回お世話になった
宮古織物協同組合専務理事の神里佐千子さんはじめ、
同じく専務理事の上原則子さん、
宮古上布染色作家の新里玲子さん、
お三方が製作された名古屋帯も一本づつ 名匠庵にございます。
(新里玲子さんは下地恵康さんの工房で修行されたそうです。)
どんな柄か、
ご興味をお持ちくださった方、ぜひ名匠庵へお越しください。
組合で購入した宮古上布についての資料なども
お手に取ってご覧いただけます。
名匠庵へのご来社ご予約、
お問い合わせはメールにてお願い致します。