柳芽吹く春
今年の二十四節気のひとつ「清明節」は4月4日でした。
万物みな清らかで明るく、すがすがしいころです。
中国では古くからこの日はご先祖のお墓を清め、お参りをする日だそうですね。
清明節は別名「挿柳節」。

この日、家の門や馬車、井戸端に柳の枝を挿すという風習もあるそうです。
春一番に芽吹く柳の生命力に邪気を払う力があると伝承されているのでしょう。
また、柳の枝を髪に挿せば病気を流してくれる、ともいわれているそうです。
実際柳の木の皮に鎮痛、殺菌作用がある品種もあるそうですから試してみたい気もします。
こちらは 下島宏作「しだれ柳に桜文様の振袖」。

たおやかな柳の枝と満開の桜が極限までシンプルに図案化された振袖です。
今まさにこの振袖のような風景が日本中で見られます。
春、本番ですね。
丹頂鼻緒のバルーン草履
きもの好きの皆さまにはお馴染み「丹頂鼻緒の草履」。

白い鼻緒の前つぼが赤色になっています。
和装小物のページでご紹介した 「菊乃好製のバルーン草履」を最近自分用に誂えて履いています。

鼻緒の前つぼを赤くして、丹頂鶴に見立てるなんて素敵なことをどなたが思いつかれたのでしょう!
日本の美意識にワクワクしてしまいますね。
ところで、赤と簡単に表現しましたが、丹頂の丹は赤土の古語。
また、丹色(にいろ)といえば黄色味を帯びた鮮やかな赤の別称。
いわゆる朱色とはまた違うのだそうで。
この前つぼの色合いをあれこれ迷うのもお誂えの楽しみです。
ちなみに丹頂鶴の頭頂部は羽毛の色が赤いのではなく露出した皮膚の血管の色。
この色で鶴のご機嫌がある程度わかるのです。
今回は草履の台を黒地の帆布にしてみました。
黒地の帯をしめた時や黒地のきものを着る時、バックが黒っぽい色の時などに大活躍です。
履いてみたい!と思って下さった方はどうぞお問合わせください。
「菊之好製 バルーン草履 四分三段」を
特選きもの名匠庵の公式オンラインショップで
販売しております。
「紅型」の名付け親
立春間近のこの時期が、寒さのいちばん厳しい時ですね。
こんな日は色鮮やかな沖縄の紅型を手にとってみたいと思います。

「紅型」のはじまりは14世紀ごろ。
中国や東南アジアとの交易の中で伝わったインドやジャワ更紗の技法が沖縄の気候や風土とあいまって今の紅型の基礎となったそうです。
その後中国の染物や友禅の技法も取り入れながら沖縄独自の染物となりました。
琉球王朝の時代、紅型は王族や上流階級の衣裳で、庶民の着用は許されませんでした。
「紅型」の語源について『沖縄文化社編 沖縄の伝統工芸』という本にわかりやすく記されていますので引用させていただきます。
“ 紅型の紅とは、単なる紅色のことではなく、色を総称したものであり、また型とは、型染めのことではなくもようを指したものといわれている。
紅型の文字を用いたのは、紅型研究者の鎌倉芳太郎で、大正時代の終わりのころといわれる。王朝時代、染物は職人のあいだで型付とよばれていた。”
本当に独特の色!独特のもよう!
紅型とはよくぞ名付けてくださったと思います。
2月の沖縄は日本で1番早く桜が開花します。
鮮やかな琉球の寒緋桜を思い描きながらこの紅型の振袖を眺めています。
宝船(たからぶね)、どちらを向いてる?
きものの文様の一つ「宝船」。
七福神や財宝、米俵などを乗せた帆掛け船のことです。
しあわせは海の果てからくると信じられていたんですね。

さて、この船の舳先の向き、
左を向いていれば「入船」
右を向いていれば「出船」
と呼び分けています。
「入船」は、たくさんの財宝や縁起物を積んだ船が港に入る様子が描かれ、しあわせが訪れるようにとの願いが込められています。
一方「出船」はおめでたい希望の門出を表しています。
この様に柄に込められた、着る人の幸せを願う作り手の思いをこれから折々にお伝えしていきたいと思っています。












