台風、あけび、関東腹の帯
本州に7号8号とダブル台風が接近しています。
台風と、あけびと、関東腹(かんとうばら)の帯
この3つのことがらには
ある共通点があります。
それは、左巻き(反時計回り)であること。
台風の渦と地球の自転(なぜ北半球では左巻き?)
台風が「左巻き(反時計回り)」になるのは、地球の自転と、それによって生まれる「コリオリの力(転向力)」が原因です。
- 中心に向かって風が吹く: 台風は巨大な低気圧なので、周囲の高気圧から中心(気圧が低い場所)に向かって強い風が吹き込みます。
- 自転の影響で風が曲がる: 地球は東向きに自転しているため、北半球では進む方向に対して右向きに曲がる力(コリオリの力)が働きます。
- 左巻きの渦になる: 中心に向かって進もうとする風が、ことごとく右に受け流される結果、中心の周りをぐるぐると反時計回り(左巻き)に回りながら吸い込まれていくことになります。
※南半球ではコリオリの力が逆(左向き)に働くため、南半球のサイクロン(台風と同じ現象)は「右巻き(時計回り)」になります。
「関東腹(かんとうばら)」の帯結び
帯問屋にとって、巻き方の違いはそのまま「商品の設計(柄の位置)」の違いを意味します。 名古屋帯や袋帯の前腹(お腹にあたる部分)は、表裏で柄の出方が異なるように作られているものが多く、呉服業界ではこれを明確に呼び分けています。
- 関東腹: 左巻き(反時計回り)に巻いたときに、一番良い柄が出る設計。

こちらが関東腹の帯結び
- 関西腹: 右巻き(時計回り)に巻いたときに、一番良い柄が出る設計。

「きものの衿合わせに沿って巻くのが関西腹」と覚えます。
お腹の柄が表と裏、違う柄がついている帯も多く、出したい柄に応じて
左巻き、右巻きと結び分けて楽しめます。
慣れない方向から巻くと、あれ?とわからなくなる時もありますが練習あるのみ!です。
ところで名匠庵の勝手口の階段下で「あけびの苗木」を育てていまして、
最近蔓がすくすく伸び上がり階段の手すりに巻きついています。
どこまで行くかとワクワクしながら毎朝眺めていますがこの蔓も左巻きです。


アケビの「左巻き」とDNAの神秘
植物の蔓(つる)がどちらに巻くかは、偶然ではなくDNA(遺伝子)によって厳密にコントロールされています。
- DNA自体が「右巻き」の螺旋構造: すべての生物の設計図であるDNAは、基本的に「右巻き」の二重螺旋構造をしています。
- ミクロの非対称がマクロの左巻きを生む: DNAの遺伝情報をもとに作られる細胞骨格(微小管など)の並び方に、わずかな「傾き(非対称性)」が生じます。このミクロな細胞レベルの傾きが、植物の茎の左右で成長速度の差(片側だけがよく伸びる)を生み出し、最終的にアケビの蔓を「左巻き(反時計回り)」に成長させます。
つまり、アケビが左に巻くのは、DNAに「左に巻き付きなさい」という指令が刻まれているからなのです。
他に「左巻き」の植物は?
アケビと同じように、反時計回りに巻き付く代表的な植物には以下のようなものがあります。
- アサガオ(朝顔):日本の夏でおなじみのアサガオは、上から見ると100%「左巻き」です。
- インゲンマメ:野菜のインゲンも左巻きに支柱に絡みつきます。
- フジ(藤)の「ノダフジ」:日本の固有種であるノダフジは左巻きです(※近縁種の「ヤマフジ」は右巻きという面白い違いがあります)。
- スイカズラ(吸葛):冬を耐え抜く強い生命力を持つ植物で、これも左巻きに伸びていきます。
以上。
ニュースで衛星画像の雲の渦巻きを眺めながら、、、
この雲どっち巻き?から始まったうんちくでした。















